Lost In Translation

友達に借りた映画。「たぶん好きじゃないかな〜。」と言って貸してくれたがドンピシャだった。貸してくれてありがとう。これも良い映画です。みんな一度は体験するようなことを表現していると思う。
見ていて思い出したのは、私がこっちに来た頃のこと。本当に辛かった。今でこそ、学校にも行き、日本人そして日本人以外の友達とも遊びに出かけているが、あの頃は何もできなかった。来て半年間、家にこもりっぱなしだった。本当にこもり続けていた。土曜日以外一歩も外に出なかった。基本的に家が大好き。そして英語は大嫌い。特に趣味もなく、旅行も準備が面倒くさいからいいや、なんて思っているタイプ。スポーツは何でも好きだが、焼けたくないからなるべく家の中にいたい、なんて思っていたら本当に家の中にいられた。信じられないが、半年間、若く(?)心身ともに健康な人間がいとも簡単に家に居られるのだ。でも、やっぱりそのうち自分が壊れだした。
実は、私達夫妻はこっちに来るまで一緒に住んだことがなかった。結婚をして、2週間後に夫がアメリカへ。私はその1ヶ月に渡米。全てが新しく、不安だった。飛行機も乗ったのなんて数える程だし、しかも海外へ一人で行くなんて初めて。緊張して機内食も食べれなかった。
とにかく寂しかったのは自分の居場所がなかったこと。どこにも所属していない、どこにも受け入れられていない、そして、何もできない自分の非力さの痛感。非常に孤独を感じた。初めての主婦生活を海外ですること、特に今まで包丁を持ったこともないような人間が毎日料理をすること(それまで料理を避けて暮らしてきました。)、自分の拠り所だった仕事ができなくなったこと、そして、友達・家族を失ったこと。ありとあらゆるもの、全てが辛かった。日本に電話をしても、みんなの声を聞くだけで泣けてしまうのでこちらからは簡単にかけることもできなかった。
でも、やっぱりそうなると、自分の身体・心に変化が出てきた。
まずは寝れない。何をしても涙が出てくる。そして、アトピーの悪化。その他、いろいろなところに変化が出てきた。今までの私のストレス解消は「落ちる時は落ちるところまで落ちること。無理はしない。ストレスの原因が仕事でも、とにかく目の前の仕事をこなすこと。時間の流れに身を任せる。」だった。そして、友達、実家の犬。電話口で涙と一緒に私の言葉を聞いてくれる友達。さりげなくいつも隣で寝てくれる犬。ここには友達・犬は居なくても時間はある。その時間だけが頼りで、そのうち時間が解決してくれるかな〜、なんて思ったけど今回は無理だった。
私の気持ちは「日本へ帰りたい。みんなに会いたい。犬に会いたい。」に集中。こんな状況を見た夫も「さすがにつらそう。」と思ったらしく帰国に快諾。アメリカに来て半年後、3週間日本に帰った。
結果的にはこの帰国が私を助けてくれた。知っている多くの人の顔を見るだけでどれだけ安心したことか。それに、実家の犬とも大興奮で抱き合った(?)。
この後から少しずつ、アメリカで普通に毎日を過ごせるようになったと思う。意外にも(?)自分が状況に慣れるのが遅い人間だと気付いたが、父が母伝いでこっちにいる私によく言っていた「住めば都」というのは本当かもしれない(父は電話口にはなかなか出てくれない。照れくさい?忙しいから?どっちもかな。)。
日本への帰国で、私にとってはサンタクルーズがゆっくりと「都」になっていった気がする。
こちらに来た方は、程度の差はあれども一度はこういう経験をするかもしれませんね。特に国際結婚をなさった方は、話を聞くだけでも、いろいろと大変なんだろうなと思います。
あ、そうそう「都」で思い出したけど、同じクラスのペルー人が私のことを「ミヤコ、ミヤコ」と呼んでいた。なんでも、知り合いの日本人の名前らしいが残念ながら私の名前は「ミヤコ」ではない(笑)。何回も「私の名前はミヤコじゃない。」言っても言い続けたのでそのうち諦めた。「ミヤコ」という名前、好きだし。でも、何かの拍子でそれが違うことに気付いてしまったらしくその後は「ミヤコ」と言ってくれなくなった。寂しくて残念なんだよな〜。